336/341
336
社の会議室で、堀田と里奈はガラステーブルを挟んで座っていた。
堀田は持参した大きな包みを脇のソファーの上に置いた。
「どうやら言わないでいてくれているようだね。ありがとう」
「あの時、桐原さんのアトリエで見たこと聞いたことは誰にも話さない、そう決めましたよね。
だから私、絶対しゃべりません」
「お願いするよ。
昨日、入院してる白井にも頼んできたんだ」
「白井さん、どうだったんですか?」
「とりあえず命に別状は無く、順調に回復してる。
しばらくしたら退院出来るそうだ」
「良かったー。
でも、白井さんはたすかったのに、あかりさんは亡くなってしまったんですね」
「ああ、そうだね」
堀田は力なく言った。
「違う蛇だったからなのかな」
里奈の言葉に、堀田は顔を曇らせた。