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「あの場にいたのは、同じ種類の蛇か?
あんたと白井を咬んだのは、同じ蛇だったのか?」
堀田が尋ねた。
安永あかりは目を閉じ、苦しそうに息を荒げながら、首を横に振った。
「違う種類の蛇なんだな!
だったら、あんたを咬んだ蛇は何なんだ!」
堀田は安永あかりの肩に手を置き、揺さぶった。
安永あかりは目を閉じたまま、すぐには口を開かなかった。
隣では、里奈が息を呑んで見守っていた。
「同じ蛇なんだろ!そうなんだろ!」
アトリエにいた2匹の蛇は、赤と青に色が塗られていたが、それ以外の姿形は似ているように見えた。少なくとも堀田には。
だが、その2匹は安永あかりの意思により消され、すでに存在していない。
「私を咬んだのは・・・・・・、コブラ」
安永あかりは、かすれるような声で言った。




