324
何も映し出されいないノートパソコンの画面を見ていた安永あかりが、かすかな笑みを浮かべた。
「玉川が救急車で病院に搬送されましたが、間もなく亡くなったそうです。
ネットの速報に出ています」
立ったままスマートフォンの画面を見ていた白井が、弱々しい声で言った。
「これで、何人もの女性たちをレイプし、私をあんな目に遭わせた5人の男を殺した。
桐原が描いてくれたミズダコで、まず吉岡を殺し、次に早坂をガラガラヘビとアミメニシキヘビで殺した。
その後、ホテルの部屋で石橋をトラを使って殺し、押尾を自宅プールでホオジロザメを使って殺した。
最後に、玉川を偽の稀崎映美の太腿に描いたズグロモリモズを使って殺した。
私や殺された女性たちをやつらに売った本物の稀崎映美も、ヒグマを使って殺してやったわ」
言い終わると、安永あかりは唇を噛んだ。
「でも、あなたは私をたすけてくれました。
私が2人組の男に追いかけられていた時に現れたシロクマは、間違いなく桐原さんが描いたものでした。
あのシロクマは、あなたの意思で動いていたんですよね?」
里奈の周りには、まだ赤と青に塗られた蛇が取り囲んでいた。
2匹の蛇は鎌首をもたげたまま、固まったように動かないでいた。




