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数日後、私は彼に再び頼みこんだ。
「あなたの妹はあいつらに殺された。
それも、散々酷い目に遭わされて。
あいつらは警察も法も裁いてくれないの」
以前話した時と同じく、彼は承知しなかった。
私は彼にすがりついた。
「あなたが、いえ、あなたと私がやらなければ、これからもあいつらは女性たちを弄んで殺すわ。
何人もの女性が、あなたの妹と同じ目に遭う。
お願いです、力を貸してください。
あなたの妹や亡くなった人たちの無念を晴らすために。
今後、2度と不幸な目に遭う人を出さないために」
私は必死で頭を下げ、彼を後ろから強く抱きしめた。涙が止まらなかった。
やがて、彼の体から力が抜けていくのが感じられた。
彼は一言、「わかりました」と言った。




