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「どうして虎が実物の大きさに・・・・・・」
桐原も驚いていたが、彼にも理由はわからなかった。
もちろん、私にもわからなかった。
でも、思った。
私をあんな目に遭わせた奴らに復讐したい。
その強い念が、このことを引き起こしたのではないか、と。
彼にもそれを話した。
彼が描いた絵のいくつかで試してみた。
他の動物の絵でも、私が念じるとその絵のサイズではなく、実物と変わらない大きさの動物が絵から抜け出てきた。
彼もあらためて他の絵で試した。
でも、彼の念で絵から抜け出た動物は、以前に彼が言った通り、描かれていたのと同じサイズだった。
どうやらこれは、私だけに起きる現象らしかった。
その日、疲れた私はそのまま彼のアトリエで眠った。
彼も、私に何かあってはいけないからと自宅には戻らず、アトリエ内の離れた場所で横になった。




