キラーB 29
第2章
玉川勝正。
一代でIT企業を興し、成功を収めると、すぐさま他業種に進出。
新規で会社を立ち上げるのではなく、かき集めた資金を使い、強引ともいえるやり方で企業を買収。
その後は無謀とも思えるダンピングで競合他社をことごとく叩き潰す。
玉川が進出した業界は、焼け野原になると恐れられている。
この手法で多くの会社を傘下に収め、巨大なグループ企業を作り上げた。
玉川は広告代理店をはじめ、テレビ、新聞といった大手マスコミをほぼ押さえていた。
テレビ局も広告代理店に圧力をかけられれば、折れざるを得ない。
結果として、彼が裏でどんな悪事を重ねようと、それが表沙汰になることはほぼ無く、逆にマスコミからは次代のカリスマとして祀り上げられていた。
新聞やテレビだけではない。
出版社でさえも、彼に逆らうことは出来なかった。
もし玉川について悪意のある記事を書くようなことがあれば、露骨な嫌がらせを受けた。
不法に入国した外国人を使った脅しもあり、実際、社員や役員が怪我をさせられたこともあった。
さらには、些細なことで難癖をつけられて裁判沙汰になり、資金繰りが出来なくなって潰れた会社も1つや2つではなかった。




