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「あの蛇の絵はどういう仕組みなの?」
彼に聞いた。
私はまだ、彼が手品か何かを使っているのだと思っていた。
「1月ぐらい前から、僕が描いた生物の絵に向かって念じると、絵からその生物が抜け出すようになった。
僕も最初は訳が分からなかった。
その生物は、僕の思う通りに動き、僕の意思で消すことが出来る」
もちろん、それを聞いた私は驚いた。
「なぜ、そんなことが?」
「妹が行方不明になったことと関係があるのかもしれない。
その時、感情がひどく揺れていたから」
「それで、妹さんを探しに来ていた時にあの紙を」
「何かの役に立つと思った。
妹や僕が危機に陥った時、助けになるのではないかと。
でも、妹が死んだ今となっては」
彼はくちごもり、うつむいた。
私は聞くのをいったん止め、アトリエの中を見て回った。
動物が描かれた絵がいくつか置かれていた。
その中の1つが目に止まった。




