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「おい、どうした」
別の男が駆け寄った。
だが、その男も叫び声を上げた。
「おい、何があったんだ?」
「咬まれた。すげえ痛え」
「咬まれたって蛇にかよ、ぐわっ」
「何だこいつ、服の上から這い上がってきやがる、うわああああ。
手に咬みつきやがった」
「早く、早く玉川さんたちに電話しろ」
男たちはパニックになり、泣きだす者もいた。
数匹の蛇は何度も咬みついているらしく、その度に男たちは悲鳴を上げた。
私は男どもとは別の恐ろしさを感じていたが、足がすくみ、まったく動けないでいた。
その人はそんな私の手を握ると、その場から離れた。
私たちの背後では、男どもの叫び声がずっと続いていた。




