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彼は、手にした紙を広げた。
ライトの明かりで照らされたのは、そこに描かれた一匹の蛇だった。
「なんじゃそりゃ、ヘビの絵なんか見せやがって」
「怖がって俺たちが逃げ出すとでも思ったか」
男たちはまた笑いだした。
「ふざけた真似してんじゃねえ!」
リーダー格の男が、描かれた蛇の絵に向かいナイフを突き立てようとした。
だが、男の動きはすぐに止まった。
信じられないことに、描かれていた蛇が絵から抜け出し、ぼとりと落ちた。
弾力のあるロープのように見えたが、確かにそれは地面に達するまで動いていた。
「お、おい、何だ、今のは」
男たちの声のトーンが、明らかに違っていた。
奴らは血相を変え、後ずさろうとした。
一方、絵から抜け出た蛇は、地面の枯れ枝や草に紛れ、見えなくなっていた。
ふと、その人の動きが見えた。
彼はあと4枚か5枚の紙をその手に持っていた。
彼は、それらを同じように次々と開いた。
そこから、また蛇がぼとりぼとりと落ちた。
しかし、パニックに陥った男どもは気づいてはいない。
突然、男どもの1人が叫び声を上げた。




