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「獣のような男どもに散々弄ばれても、それで終わりではなかった。
これから殺されるの?そう思うと、身体の震えが止まらなかった。
私は後ろ手に縄をかけられ、裸のまま外に連れ出された。
そこは、どこかの山の中のようで、周りには樹木が生い茂り、視界には民家どころか他の建物すら見えなかった。
夏とはいえ山の夜は冷えて、男どもに嬲られた身体中が痛かった」
会見が進んでも主役の2人、特に艶やかな稀崎映美に対しては、カメラがなお向けられていた。
幸せの絶頂を迎えた女の顔に見えた。
安永あかりは目を腫らしたまま、その夜についてさらに語った。
「特別にチャンスを与えてやる。ここから逃げろ」
私を外に連れ出した男が言った。
男たちから逃げられるはずなど無い。
建物の外には、チンピラのような若い男たちがたむろしていた。
それでも、男は言った。
「ここから逃げるんだ。3分だけ待ってやる。
それまでに出来るだけ遠くに逃げろ。
3分経ったら、こいつらも動き出す。
無事に逃げ切れたら、おまえは自由の身だ。
だが、捕まっちまったら、罰を与えねばならんなあ。
俺たちから逃げようとしやがったんだから」
どうせ逃げられっこない。
わかってるくせに、そんなことを言っている。
男たちは、私が必死で逃げようとするのを見て楽しむつもりなのだ。
聞き入れてもらえないと分かっていても、私は泣いて命乞いをした。
どうか、命だけはたすけて、と。
でも、男たちはにたにたと笑うばかりだった。




