286/341
286
監禁事件以降、ずっと姿を隠していたモデルの稀崎映美。
彼女は玉川と並んで登場すると、いくつものマイクがセットされたテーブルの前に腰を下ろした。
髪はアップにセットされ、肌艶も良く輝いて見えた。
少し前に事件に巻き込まれ、心身ともに酷く傷ついているようには、まるで見えなかった。
「そんな馬鹿な。
いくらテレビや映画に出れるからって、彼女がそんなことをしていただななんて」
白井は取り乱した。
「映美はターゲットとなる人物を定めると誘い出し、飲み物に睡眠薬を入れて眠らせる。
眠らされた女性は山の中に連れ去られ、男どもの餌食にされる」
「それは事実なんですか?」
白井が尋ねた。
「ええ、そうよ。
私は映美から直接聞いたわ」
画面を見つめる安永あかりの瞳から涙がこぼれた。
それは悔し涙に見えた。




