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会見は玉川と稀崎の人物紹介を経て、玉川が所有するグループ企業と業績、商品やサービスについての紹介と、延々続いた。
「やっぱり、自分とこの社の宣伝かよ。
婚約会見でこれじゃ、結婚式だともっと盛大にやらかすんだろうぜ」
徳丸があくびをしながら言った。
アトリエ周辺には、数台の警察車両と1台の救急車が止まっていた。
辺りは立ち入り禁止区域になっているが、少し前に車を乗り入れた杉尾が張り巡らされていたロープ、さらに道を塞いでいた障害物を破壊していたため、車が乗り入れ可能になっていた。
近くまで来た警察官、救急隊員たちは、アトリエから出てきた白井の説明を受け、みな車両の中で待機していた。
アトリエに戻った白井は、信じられないという顔で立ち尽くした。
それは、堀田も同様だった。
「俺は、あんたが死んだ事故の現場検証に立ち会ったんだ。
こんなことは有り得ん。
間違いなく、あんたは死んだはずだ。
俺だけじゃない、他の警官や鑑識員たちも見ている」
これまでずっと冷静だった堀田の顔にも、動揺の色が見えた。




