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キラーB 27
「一応伺いたいんですがね」
堀田は水槽から飼育員へと視線を戻した。
「なんでしょうか?」
「巨大なタコとかイカが人を殺す、なんてことはあるんでしょうかね」
堀田の問いにも、飼育員の表情は変わらなかった。
「そうですねー。
海外だと、水中で大きなタコに絡みつかれて逃げられなくなったダイバーが窒息死した、そんなことがあったそうです」
「地上ではそういうことは無いですか?」
「地上で、ですか?」
「絡まれて窒息したとか」
「いやあ、それは考えられないと思いますよ。
基本的に、ミズダコは陸の上には上がらないですから。
もちろん、力は相当強いですけど」
「そうですか」
「あ、そういえば・・・・・・」
飼育員は何かを思い出したように目線を上げ、ガラスの向こう側のミズダコを見つめた。




