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「悪かった、俺が悪かった。
謝るから許してくれ。
動画を上げるのだけは止めてくれ」
堀田は何も言わず、杉尾を立たせると、アトリエの壁に両手を着かせた。
「俺は頼まれただけだ。
桐原が描いた絵を全部処分しろ、そう言われただけなんだ」
泣き叫ぶ杉尾には構わず、堀田は杉尾が携帯していた拳銃を取り上げた。
「話は後でお聞きします。
特定の人物や企業に便宜を図ることが無かったかどうか、余罪についても調べさせていただきます」
堀田が静かに言った。
杉尾は両手を壁に置いたまま、うなだれた。
突然、銃声が響いた。
かなり大きな音だった。
「主任!」
叫んだのは白井だった。
堀田の右腕から、かなりの血がしたたり落ちていた。




