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午後4時過ぎ、杉尾が署の廊下を歩いていた時、スマートフォンに電話があった。
通知を見ると、玉川からだった。
面倒そうな表情を浮かべていた杉尾の顔が一変し、慌てて電話に出た。
「テレビ見ましたよ。
ご婚約、おめでとうございます。
あんな若くて綺麗な方と結婚とは、うらやましい限りですな。
これから、一緒に婚約会見ですか」
杉尾は祝福の言葉を玉川に伝えた。
「今、大丈夫でしょうかね?
聞かれてはまずい話なもので」
玉川の声は、意外にもナーバスなものだった。
杉尾は周囲を見回し、
「すぐ自室に戻りますので」
小声でそう言うと、早歩きで廊下を移動し、『副総監室』と書かれてある部屋に入ってドアを閉め、机の前の椅子に腰掛けた。
「大丈夫です。どうされました?」
「昨夜、店の周りをうろついていた女カメラマンを捕まえようと、私は組織に依頼しました」
「ええ。私が玉川さんに電話でお知らせした女の件ですね」
「しかし、女を追いかけていた2人は、路上で殺されました」
「知っています。残念でしたね。
警察でも、今調べているところです。
詳しいことは、まだ、分からないのですが、早急に犯人を捕まえます」
「実は、2人が殺されるところを見ていた者がいるんですよ」
玉川の声は静かだが、ドスのきいたものだった。
「え?どういうことですか?」
杉尾には、玉川の言っていることが理解出来なかった。




