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「マスコミが思いのままに動かせるなら、いくら裏でえげつねえことやってても、表には出てこねえもんな。
しかも、いい女をゲットしやがるとは、畜生!
デスク、うちにはこいつらの情報入らなかったんですか?
テレビではこんなにやってますけど」
テレビのチャンネルをザッピングしながら、徳丸は後方を振り返った。
デスクの神田が忙しそうに動き回っている。
「入るわけねえだろう。
ウチは玉川には嫌われてるんだぞ。
それより、おまえの卓越した取材力でどうにかならなかったのか」
神田は皮肉るように言った。
「どうにもなりませんね」
徳丸は他人事のように返した。
「何をしてるんだ?
さっさと記事書けよ。
せっかくネタを提供してもらったんじゃねえか。
ウチもネットに速報記事上げるからよ」
「いや、俺、玉川の件からは降りることにしたんで。
命あっての物種ですからね。
あいつはヤバ過ぎる」
徳丸は座ったまま神田に背を向けた。




