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「こいつら年が52と26じゃねえか。二回り以上も離れてるくせに、何が愛に年の差はねえだ。
だったら、俺も女子高生と付き合わせろよ」
徳丸が啓示社の編集部でテレビを見ながら毒づいていた。
画面には玉川勝正と稀崎映美の紹介VTRが流れ、芸能記者が解説している。
「いや、玉川社長ぐらいの財力があれば、女性がなびくのは当たり前ですよ。表には出てきませんが、愛人にも高級マンションとポルシェが与えられるそうですからねえ」
「ポ、ポ、ポルシェ・・・・・・」
行橋の言葉に、徳丸は鳩のように目を丸くした。
「ポルシェなんて、模型作りが精一杯だぜ。
どういうことだ」
「まあ、そんだけ金があるってことですよ。
それにしても、このニュースは玉川グループの大きな宣伝になりますねえ」
行橋は徳丸とは対照的にパソコンのモニターを見ている。
「ったく、盗みとパクリと恐喝でのし上がったくせによ。
ところで、この稀崎映美ってのは、そんなに有名なモデルなのか?」
「一応、ファッション誌の専属モデルではありますが、一般的な知名度はさほど無かったと思いますね。
でも、ほら、例の監禁事件がありましたから」
「何か臭うな。もしかして、やらせじゃねえのか」
「マスコミを牛耳ってる玉川ですから、有り得ない話ではないですね」
行橋はまだモニターを見つめていた。




