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離れた場所で車の止まる音がした。
ドアが慌ただしく開けられ、続いて、数人の男たちの声が聞こえた。
逃げている時、男の1人が「殺すなよ」と言っていたから、殺されはしないのだろうか?
その代わり、かなり痛い目に遭わされるのだろうか?
車に乗せられて、どこかに連れて行かれるのだろうか?
拉致監禁?
いっそのこと、一思いに殺してくれればいいのに。
桐原が目の前で殺された時の情景が、頭に浮かんだ。
里奈はそのまま、うつ伏せに倒れていた。
もう、自分ではどうすることも出来ない。
倒れている自分の肩に、男の手が触れたら、すべてが終わり。
里奈は、倒れ込んだまま、顔を上げなかった。
恐ろしくて、そうすることが出来なかった。
そのまま、10秒近くが経った。
どうしたのだろう?
近づいてくる気配がない。
突如、男たちの騒然とする声が、後方から聞こえた。
さらに、断末魔の悲鳴が。
「えっ?」
里奈は慌てて顔を上げ、振り返った。




