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四つん這いのまま植え込みから出た里奈は、今度は中腰になって進んだ。
この態勢では、ほんの少ししか動けない。
ふと、店の方に目をやった。
店の前には、2人がまだ立っていた。
里奈は、さらに身体を屈め、ちょっとづつ移動した。
早く、あの人たちから見えないところに行かないと。
里奈は、再び店の方を見ることにした。
ちょっと、まずいかも。
そんな思いが浮かんだ。
明らかに不自然な格好で里奈が首を傾けた時、店の前に立つ2人は、こちらを見ていた。
もろに2人と目が合ってしまった。
里奈は、慌てて目を逸らした。
しかし、2人がまだこちらを見ているのは横目ではっきりわかる。
冷たい汗が頬を伝った。
突如、背の低い方の男が、こちらを指差し、何か叫んだ。
あの2人が私を探しているというのは、自分の勝手な妄想・・・・・・。
そんな淡い望みは、一瞬にして吹き飛んだ。




