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玉川は右手を杉尾に差し出した。
杉尾は恐縮して頭を下げ、その手を握った。
「今回はたすかりました。
ずっとビクビクしてましたからね。
次に殺されるのは自分ではないか、と」
「お力になれて光栄です」
杉尾は再び頭を下げた。
「とりあえず、座って下さい」
促され、杉尾は向かいのソファーに座った。
玉川は瓶を手にすると、杉尾の側に置かれてあるグラスにビールを注いだ。
「恐縮です」
杉尾は小さく頭を下げた。
「これで、私もようやく枕を高くして寝ることが出来ますよ」
玉川が瓶を置くと、今度は杉尾が上体を伸ばし、それを手にした。
「本当に良かったですね」
杉尾は玉川のグラスにビールを注いだ。
「まったく、動画を見た時には驚きましたよ。
未だに信じられませんがね。
あの男が持っていた絵から、毒蛇が抜け出してくるなんて」
玉川は言うと、リラックスしたように両足を組んだ。




