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「頭の悪いガキだな。くだらねえ正義感振りかざしてんじゃねえよ」
「私、絶対に真相を突きとめます」
「いい加減にしろ!おめえ、本当に殺されっぞ。
俺だって決めたんだ。もうこの件からは手を引く。
一連の事件には2度と首を突っ込まねえ。
たとえ、社長に命令されたとしてもな」
「先輩は悔しくないんですか!」
「何とでも言え。
死んだらな、お終いなんだよ。
死んじまったら、2度とキャバクラには行けねえし、風俗にも行けねえんだ。
わかったか!」
徳丸は声を張り上げて言うと、部屋から出て行った。
里奈は顔を真っ赤にして、自分の机の前に立っている。
小さな身体がかすかに震えていた。
「今回ばかりはさ、徳丸先輩の言ってることが正しいよ」
行橋が里奈に近づき、声をかけた。
里奈は何も言わず、唇を嚙みしめていた。




