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「桐原さんのこと、誰かにしゃべったんじゃないですか?
あの犯人は、桐原さんを狙ってたみたいでした。
犯人か、犯人のグループに情報が洩れてたんじゃないですか?」
「警察が情報を外部に漏らすことなど、絶対にありません」
堀田は、杉尾に桐原についての報告をしたことは言わなかった。
「じゃあ、どうして犯人は桐原さんを狙ったんですか?」
「それは今調べてるところです」
「桐原さんが狙われてること、警察は知ってたんじゃないですか?
だから刑事さんを寄こしたんですよね?」
「我々は、桐原さんに話を聞こうとしていただけです。
本当にそれだけです。
命を狙われていたなんて、まったく知りませんでした」
里奈はうつむくと、
「警察って、信用できるんですか?」
ぼそりと言った。
小さな身体が小刻みに震えている。
「信用していただけるよう、尽力します」
「桐原さんは殺されたんですよ!」
里奈は顔を上げた。
堀田の顔をにらむように見ている。
「あの場には2人の刑事が居ました。
それなのに、救うことが出来なかった。
我々の力不足です。本当に申し訳ありません」
堀田は頭を下げた。
「謝ってもらっても、桐原さんはもう戻ってこないんです!」
里奈は感情をぶつけるように言った。
堀田は何度も頭を下げ、辛抱強く応対した。




