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「正直、ここまで露骨にやられるとは思わなかった」
外の景色に目をやると、人が次々と喫茶店の前を通り過ぎて行く。
早く事件を解決し、人々が安心して暮らせるようにしなければ・・・・・・。
そんな考えが浮かんだ。
堀田は白井に向き直った。
「こちらも手をこまねいているわけにはいかない。
白井、その日行ってくれるか」
「もちろんです」
白井は、堀田の顔をまじまじと見つめて答えた。
「俺の代わりに篠原をつけるから」
堀田が言うと、途端に白井の顔が強張った。
「どうした?
篠原では不満か?」
「いえ、そんなことは・・・・・・」
白井の声はすっかりトーンダウンしている。
堀田は笑い出した。
「あいつは融通が利かないからな。
一緒にいると、さぞかしやり難いだろう」
「そ、そんなことありません」
白井は慌てて首を横に振った。
それを見て、堀田は再び笑い出さずにはいられなかった。
「女性の安全を第一に考えなければならないんだ。
その点では篠原は悪くないと思う。
事件の証拠が何一つ無いから、男から話を聞くのは一筋縄ではいかないだろうが、頑張ってくれ。それと」
堀田はじっと白井を見た。
「人が何人も死んでるんだ。
もちろん、同一犯と断定は出来ないが、くれぐれも慎重にな。
何かあったら、いつでも俺に連絡してくれ。
講習会中も抜け出せるようにしておくから」
「はい」
白井は力強く答えた。




