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その日の夕方、堀田と白井は署長の杉尾のもとを訪れた。
堀田は、里奈が絵描きの男について話したことを報告した。
4日後、里奈がその男に会うことについても話した。
「そうか、そんな情報が入ったのか」
杉尾は、必死で笑いを押し殺しているように見えた。
少なくとも堀田にはそう思われた。
「私のつまらない憶測で君たちに手間をかけさせてすまなかった。
もう、この件は忘れてくれ」
「え?」
声を上げた白井は、露骨に驚きの表情を浮かべていた。
一方、堀田はかすかに口元を動かしただけだった。




