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「この時、あなたにはそのワシが見えていたんだね?
この写真には写っていないワシが」
堀田は、再び里奈の顔をのぞき込んだ。
「はい、徳丸先輩も見たはずです」
里奈がきっぱりと言った。
堀田は徳丸に目を向けた。
徳丸はだらしない恰好でソファーに座り、写真を頭の上にかざして見ている。
「見ましたよ、オウギワシは。
でも、こいつがちゃんと写真に撮ったかどうかまではわかりませんねえ」
徳丸は他人事のように言った。
「この写真、少しの間借りしてもいいかね?」
「問題無いと思いますよ。どーぞ、どーぞ」
徳丸が言うと、白井はビニールの袋に写真を入れ、鞄の中にしまった。
「それじゃ、次は遅刻してきた徳ちゃんの話を聞こうか」
堀田が徳丸に体を向けた。
「あっ、写真に写らないといえば、他にもありました」
不意に里奈が口を開いた。




