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以前に比べ、里奈の表情が冴えないように2人には映った。
「先日は捜査へのご協力、ありがとうございました。お話をお聞かせいただいたことと、写真を提供くださったことに感謝いたします」
堀田は続けた。
「今日、こちらに伺ったのは、先日の事件について、あらためてお話をお聞きしたかったからです。
あなたは、被害者がプールで惨殺された事件の唯一の目撃者です。
よろしければ、もっと詳しくお話を聞かせて下さい」
「はい。でも、私は実際にこの目で見たことや聞いたことしか話せません」
「それでいいんです。前回と同じ内容でも、こちらは一向に構いませんので、見たままを私たちにお話し下さい。それでですね」
堀田はそこまでしゃべると、隣に座る白井に顔を向けた。
白井は、無言で鞄からビニール袋に入った写真の束を取り出した。
受け取った堀田は、ぱらぱらと見た後、その中から一枚を取り出した。
それは、殺された被害者が自宅プールに浮かんでいたマットから振り落とされそうになり、必死にしがみついている写真だった。
水中に向けられた男の顔は、何か恐ろしいものを見たかのように、ひどく引きつっている。




