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広場では、小さな売店が何軒か営業していた。
冷たいドリンクや食べ物を求める人が数人、店の前に並んでいる。
「待たせないようにしなきゃ」
里奈は、ソフトクリームを2つ注文しようとしたが、
「子どもっぽいかな」
直前になってそう思い直し、飲み物に変更することにした。
里奈は、売店のカウンターの前に立った。
「オレンジジュース2つ、ああ、ええと、やっぱりやめて、コーラ2つ、ううん、やっぱりアイスコーヒー2つで」
里奈はたっぷりと氷が入り、ストローの差してある大きめの紙カップを手にし、桐原の待つテーブルへと、ゆっくりとした足取りで向かった。
「気を遣ってくれなくてもよかったのに」
里奈が近くまで来ると、桐原はすまなそうに言った。
「だって、動物園の入場料も払ってもらったし、それに、一緒に見て回ってる時、いろいろ教えてもらったんで、せめて、このぐらいは」
里奈は、桐原の前にアイスコーヒーの入った紙カップを置いた。
「ありがとうございます」
桐原は落ち着いた声で言った。




