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陽射しがさらに強くなっていた。
里奈と男は、園内の動物を一緒に見て回った。
男の表情はデパートに居た時よりずっと和やかになっていた。
男は様々な動物について詳しい知識を持っていた。
里奈はこれまで、特に動物には興味が無かったので、感心して聞き入るばかりだった。
動物の絵をよく描くと男は言った。
「これって、まるでデートみたいじゃない」
男と歩いているうちにふと思った。
「でも、悪くないかも」
そうも思った。
男は、ある動物のところまで来ると、足を止めた。
ホッキョクグマだった。
ここの通路は高い位置にあるため、見る人はクマたちを上から見下ろす形になっている。
男はキャンバスを取り出した。
「描くんですか?」
里奈が尋ねると、男はうなずいた。




