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男はブラックマンバを描き終わると、その場を後にした。
里奈は邪魔にならないよう注意して、ついていった。
奥に進むと、広くスペースをとっている場所に出た。
そこにはアクリル板の囲いがあり、上部にワイヤーが張り巡らされている。
中には、一匹のワニがいた。
大きさは2メートルほど。
男は、ちらとワニに目をやった。
里奈は、男がこのワニを描き始めるのだと思い、貼られてあるプレートに目を向けた。
そこには、『メガネカイマン』の表記があり、下の説明を読んでみると、ペットとして飼われていて逃げ出したものを保護したとある。
こんな恐ろしいものをペットにする人間の気持ちが、里奈にはまったくわからなかった。
男を見ると、さらに奥へと進んでいた。
里奈は、音を立てぬようにして、あとを追った。
男は、幅の広い台座の前に立っていた。
その上に置かれた大きなガラスケースの中には、大型のヘビがおり、とぐろを巻いていた。




