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里奈が目を向けたケースの横には、『ニシダイヤガラガラヘビ』と表記されたプレートが置かれていた。
ガラスケースの中には、まだら模様のヘビがいて、時折しっぽの先に付いている突起を立てて震わせたり、黒い舌を出しては引っこめたりしている。
ほんの少し間を置き、男は口を開いた。
「ガラガラヘビの毒は出血毒なんです。今描いているのは神経毒を持つ蛇ですから」
「しゅっけつ毒?しんけい毒?よく分からないんですけど、違うんですか?」
「神経毒はその名の通り、神経を侵す毒です。進行が早く、咬まれた者は主に呼吸困難により死に至ります。
出血毒は毒の進行は遅いが、体の組織と血管を破壊しながら進行していく」
里奈は男をじっと見た。
男は正面の、さっきまで描いていた蛇に目を向けていた。
細いが長い蛇で、プレートには『ブラックマンバ』と表記されている。
名前に『ブラック』と付くのに、蛇の体色は灰色に見えた。




