170/341
169
展示場の中は順路が表示され、通路に沿って設置された台の上に、ガラスケースが置かれていた。
その中には爬虫類がおり、横には詳細な説明が書かれたプレートがある。
入ってすぐのところには、小さなトカゲや無毒の蛇の他、カエルなどの両生類も展示されていた。
カエルの中には、絵の具をそのまま塗りつけたような派手な体色のものも居る。
この時間は人が少ないためか、入場者の多くは立ち止まって観察したり、説明書きを熱心に読んでいた。
最初は関心の無かった里奈だったが、しだいに興味を覚え、カメラを手にケースの中の生物を撮り始めた。
夢中になって写真を撮っているうちに、里奈は毒蛇が展示されているブースに足を踏み入れていた。
「あ・・・・・・」
思わず声を上げた里奈の視線の先に、探している男が立っていた。




