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「もしかして、もうデパートの中にはいないんじゃ・・・・・・」
そう思いながらエスカレーターを降りた里奈の目に、一枚の看板が飛び込んできた。
『世界の爬虫類展』
看板には、大きな文字でそう書かれてある。
「まさか・・・・・・」
妙に気になった里奈は、入り口付近から中を覗いた。
展示場は、迷路のように衝立が設置されていて、奥まで見ることは出来ない。
入口の横を見ると、窓口があり、すぐ下に料金が書かれてある。
里奈には、その金額が高く感じられた。
「これ、経費で落ちないかなあ」
特別見たいと思わないものに金を払いたくはなかったが、ここまで追ってきた以上、もう後には引けない。里奈は料金を支払い領収書を受け取ると、中に入った。




