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「よろしく頼む。期待しているぞ」
杉尾は立ち上がり、部屋から出て行った。
杉尾の足音が遠ざかると、白井はすぐさま声を上げた。
「主任、本気で言ってるんですか?私たちは警察の人間です。ゴシップ雑誌の記者とは違うんですよ。署長の話はあまりにも唐突過ぎます」
「いや、調べてみる価値はあるだろう」
思いもよらぬ堀田の言葉に白井は唖然となり、すぐには返せなかった。
「電話をかけてきたのが誰なのか、それすらも分からないんですよ。それなのに捜査をするんですか?そんなことをするぐらいなら、宇宙人の可能性を疑った方がまだマシです」
白井は声を荒げたが、堀田は落ち着いていた。
「これは署長の指示なんだ。従うしかないだろう。
とにかく今日はゆっくり休め」
堀田は白井の肩を軽く叩くと、部屋から出て行った。
白井は納得出来ぬ様子で、しばらくその場に留まっていた。




