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「性別と年齢は絞られた。あとは絵を描く人物、それも生物の絵を描くやつだな。そうすると、さらに絞られるだろう。今は忙しくて人員も厳しいが、至急調べてくれんか」
杉尾の言葉を受け、白井はすがるように堀田を見た。
「仮にそんな人物が見つかったとして、その後はどうするのでしょうか。まさか、生物の絵を描いていたというだけで取り調べるわけにもいきませんし、任意での事情聴取も難しいと思います」
堀田の声は重々しかった。
「とにかく調べればいいんだ。深く考えることは無い。
怪しい人間が一人でも二人でも特定出来たら、また考えればいい」
「ですが、それでは」
そこまで言いかけた白井を、堀田が止めた。
「わかりました。私も調べる価値があると思います。署長のおっしゃる通り、危険な生物を描いている30代の男、徹底的に洗っていきます」
堀田は真剣な表情で言った。




