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「こんなおかしな事件が続いてるんだ。あらゆる可能性を考えるべきだろう」
「ですが」
声を出したのは、またも白井だった。
「不服か?」
杉尾がぎろりと白井をにらみつけた。
「いえ、そんなことは」
白井は直立不動のまま躊躇い気味に答えた。
「実はな、今日、署に匿名の電話があった。
それによれば、このところ起きている事件は、何者かが絵を描き、その絵を使って殺人を行っているというんだ」
「えっ」
今度は堀田の口から声が漏れた。
「詳しいことはわからん。どうやって殺人をするのかということも含めてな。そういう電話があったというだけだ。だが、そう考えてみれば色々と辻褄が合う。そして、それは男だということだ。30代ぐらいの」
あまりに突飛な話に、堀田も白井も言葉が無かった。




