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「徳丸んとこから預かった写真、データ班の結果は出たんだよな?」
堀田が言うと、白井は立ち上がり、自分の机から写真の束を持ってきた。
「ええ。やはり、CGなどの合成技術は使われてません」
「そうすると、これがあの女性カメラマンがそのまま撮った写真ってことになるのか」
堀田は、机に置かれた写真を一枚づつ見ていった
そこには、プールで何かに襲われているように見える被害者だけが写っている。
「はい。でも、彼女はマル害を襲ったのはサメだと言ってました」
「サメっていうのは有り得んが、ウソをついてるようにも見えねえんだよな」
2人は無言のまま、一枚一枚写真を見ていった。堀田はずいぶんと難しい顔をしていた。
「マル害って、何かに襲われてますよね?」
不意に白井が口を開いた。
「ああ、そう見えるな。肝心のその何かが写ってねえが」
「その何か、が写真に写らなかったってことは無いですかね」
白井が恐る恐る顔を上げて言った。
「どういうことだ?」
「あの女性カメラマンの目には何かが見えていたが、写真には写らなかった、その可能性は無いですかね」
「目に見えていたのに写真に写らない、そんなはずがあるか」
「写真に写らないって、最近の事件であったばかりじゃないですか」
「なに?」
「安永あかりさんが事故で亡くなった件ですよ」
「むう」
堀田は小さくうなった。




