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「そして、こないだの事件だ。マル害は自宅プールで殺された。巨大な生物に下半身を喰いちぎられたと思われる、酷い殺され方だ。
唯一の目撃者である女カメラマンは、マル害がサメに襲われたのを見たと言っている」
「ありえないでしょう、それは」
白井の言葉に、堀田はうなずいた。
「まったく分からん。ただ、この4つの事件に共通していることがある。全員悪い噂のある金持ち連中ばかり。そして、みな何らかの生物のようなものに殺されている、ということだ」
「井沢公園に現れたという熊も関係あるんでしょうか?」
「わからん。考えれば考えるほど、わからなくなるな」
堀田はイスに腰かけると、机の上に置いてあった雑誌をぱらぱらとめくり出した。
質の悪い紙で綴じられたそれは、徳丸と里奈が勤めている啓示社から発行されたゴシップ雑誌だった。




