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数日後。
刑事の堀田と白井は、署のデータ管理室にこもっていた。
ここのところ続いた殺人事件をずっと調べているのだが、解決の糸口はまったく見つからない。
凶悪事件の捜査に関しては百戦錬磨の堀田も、さすがにイラつきを隠せないでいた。
「一件目が、高級マンションで起きた窒息死。マル害は巨大なタコのような生物に襲われたらしい。現場に残された液体からは、タコと同じタンパク質が見つかっている。だが、その生物がどこから部屋に入り、どこに消えたのかは未だ不明。
二件目が、蛇と思われる巨大生物に呑み込まれたことによる窒息死。さらに、マル害の体には、毒蛇に咬まれたと思われる傷跡がいくつもある。だが、蛇は現場から消えた。辺りを探しても見つからない。それどころか、通った形跡すらない。
次は、ホテルの一室での惨殺。部屋は密室。この時、その場に居たホテルのスタッフ2人と客の女は、大きな物音やマル害の悲鳴の他、獣の吠えるような声を聞いたと言っている。そして、マル害が発見された時には」
堀田がそこまで言った時、白井がノートパソコンの画面を見たまま、口を開いた。
「無惨に引き裂かれた死体があっただけ、ですよね。3人が聞いたという獣の声とは何だったんでしょうか。それに、直前に同じフロアで大きなイノシシとそれに乗った小さなサルが目撃されてます。これもマル害の第一発見者であるホテルスタッフ2人の話ですね」




