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「答えは、『BAD』です」
里奈が言い終わらないうちに、徳丸のデコピンが再度さく裂した。
「痛いっ!」
「何だよそれ、おかしいだろ」
「じゃあ、BABY、もしかして、BABYMETAL」
徳丸は、またデコピンを喰らわそうとしたが、里奈はどうにか避けた。
「『Animal』だとAだし、『Creature』だとCだし、わかりませんねえ」
行橋はお手上げだというように言った。
「わからねえようだな。仕方ねえ、教えてやろう。答えはな、『Beast』だ。『Beast』のBだ」
「なるほど」
徳丸の言葉に、行橋は手を叩いた。
「しかもな、『キラーB』は南北アメリカ大陸で猛威を振るう殺人ミツバチ『キラービー』に引っかけた名前なんだぜ。なかなか洒落てるだろう」
徳丸は、得意げに言うと、さらに続けた。
「とにかくだ。俺はこのキラーBという名を広めるとともに、こいつの正体を暴いてやるぜ。必ずな」
徳丸は鼻歌を歌いながら、自分の机に戻って行った。
「どうせ無理なくせに」
まだデコピンされた箇所を手で押さえ、顔をしかめている里奈が、小さな声で呟いた。




