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堀田が机の上に置いた写真には、マットに乗った被害者の男だけがいた。
背後を振り返る、その表情は、何かに怯えているように見えるが、何も写っていない。
散々でかい口叩いておいて、出してきたのはちゃちなインチキ写真かよ。
警察を舐めやがって。
「おまえたちが実際に見たのは、こんな光景だったのか?」
堀田の声は決して大きくは無かったが、凄みが感じられた。
「いやあ、自分は見てないんですよ。塀が高くて中が見えなかったもんで、里奈を肩車してたんです。中を見れたのはこの里奈だけでして」
徳丸は、里奈の頭に大きな手を置いた。
里奈はまだ、うつむいている。
「こんな出来の悪い合成写真で、警察を騙そうとしやがって。
どう責任をとるんだ?」
堀田が少しだけ声を荒げた。
徳丸も黙り込んだ。
「主任、おそらくですが、この写真にはCGなどの合成技術は使われていません」
不意に、若手刑事の白井が口を開いた。




