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「ワニねえ・・・・・・」
堀田は懐疑的な目を徳丸に向けた。
「被害者が巨大な生物を飼っていたという情報は?」
「それが、何も無くてな。それに、この通り」
堀田は屋敷の塀を庭の中からぐるり見渡した。
「外からは容易に入り込めんようになっとる」
堀田はため息をついた。
「そうですか」
徳丸も遅れてため息をついた。
「あの」
徳丸と堀田の背後から、小さな声がした。
2人が振り返ると、里奈がうつむいたまま立っていた。
まだ片手を口元に当てている。
「なんだ」
徳丸は、返事をするのも面倒くさそうに言った。
「あの・・・・・・」
「何だ、早く言え」
「サメだと思うんですけど」
里奈は顔を上げ、徳丸と堀田をおそるおそる交互に見た。




