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「てめえ、無理に決まってんだろ」
篠原は、ますます怒り出した。
「まあまあ」
堀田は再び篠原をなだめると、徳丸に顔を向けた。
「こればっかりはダメだ。誰が何と言おうとな。
そんなこと、おまえさんだって知ってるだろう」
堀田の口調は穏やかだが、強さがあった。
徳丸はすかさず、背後にいた里奈の腕をつかみ、前に引っ張り出した。
里奈は身体を震わせ、2人の刑事の前にうつむいたまま立った。
徳丸は、里奈が首から下げているカメラを手にした。
「この中に、事件が起きた時の様子がばっちり収まってるんですがねえ」
徳丸は顔をにやつかせた。
「何だと!」
堀田と篠原、2人の刑事は顔を見合わせた。
「たまたま撮れたんですよね。スクープを狙ってガイシャを張り込んでたら」
「とりあえず、見せてもらおうか」
堀田が変わらぬ口調で言った。
「タダで、というんですか?」
徳丸は、堀田の顔をのぞき込んだ。




