137/341
136
「どうだ、これで見えるようになっただろ」
徳丸に肩車された里奈は、塀の瓦屋根越しに中が見える状態になった。
そこで繰り広げられている光景に、里奈は言葉を失った。
里奈から15mほどの距離にプールがあった。
そのプールでは、水中に落ちた男に、頭部を水面に出したサメが襲いかかっていた。
「ぐわー」
肩の辺りに、サメが噛みつき、男が悲痛な叫びを上げた。
一瞬にして、プールの水が赤く染まった。
「おい、何が起きてるんだ?おい!」
徳丸はイラついていた。
中からは、男の叫び声、さらには、激しい水音も聞こえてくる。
だが、里奈を肩車している徳丸の目の前には、塀の白壁があるばかりで、何も見えない。
「あ、あの・・・・・・」
パニック状態の里奈の口からは、言葉がスムーズに出てこない。
「何だ、早く言え」
「プールにサメが」
「なに?聞こえねえよ」
「プールにサメがいて、人を襲ってるんだってばー」
里奈はやけを起こしたように大きな声を出した。




