136/341
135
「なんだ?今の声は」
「何かあったんでしょうか」
塀の外にいる徳丸と里奈は、顔を見合わせた。
「ちくしょう、塀がこんなに高くちゃ見れねえじゃねえか!」
徳丸は高い塀を見上げ、毒づいた。
「そうですねー、これじゃあ中は見れませんよねー。
ドローンでもあればなー、あ、うちの社じゃ無理か。
せめて、自撮り棒でもあればよかったんですけどねー」
対照的に里奈は、他人事のようにつぶやいた。
この時、徳丸は突然しゃがみこみ、後方から里奈の両足を両手でつかむと、里奈の足と足の間に自分の頭を入れた。
「ちょ、ちょっと、何するんですか!」
里奈は顔を真っ赤にして言った。
「誰もおめえみてえなガキ相手にしねえよ。
いいから、じっとしてろ」
徳丸に強く言われ、里奈は黙り込んだ。
悔しくて仕方が無かったが、返す言葉がすぐには思い浮かばなかった。
徳丸はこれでも、学生時代ラグビーをやっており、体は強かった。
徳丸は里奈を肩車したまま立ち上がった。




