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オウギワシは微動だにせず、奥まった不気味な目で2人をじっと見つめていた。
「何で、こんな所にいるんだ?」
「また、紙をくわえてます」
里奈はオウギワシを指差した。
「ああ、里奈、とりあえず」
「わかってます」
徳丸の言葉よりも早く、里奈はカメラを構えていた。
オウギワシは2人を見つめたまま、まったく動こうとはしなかった。
里奈はオウギワシをレンズ越しに見ながら、数回シャッターを切った。
その後、里奈がカメラを顔の前から外すと、オウギワシはそれを待っていたかのように翼を羽ばたかせ、屋敷の中へと飛んで行った。
「とにかく、行ってみよう」
徳丸の言葉に、里奈は黙ってうなずいた。
2人は荷物を手にすると、オウギワシが飛んだ方向へと、塀に沿って進みだした。




