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「いつ届いたんだ?」
男は独り言のように言い、ドアの手前まで行くと、体を屈め、封筒を手に取った。
男は、迷っていた。
封筒を一人で先に開けるか、女と一緒に開けるかを。
「まさか、今時ラブレターじゃないだろうな」
男は我慢することが出来ず、先に封筒を開けることにした。
封筒の中には、二つ折りになった紙が一枚だけ入っていた。
男はにやつきながら、それを取り出した。
「何が書いてあるのかな?」
男は封筒を脇に挟むと、二つ折りの紙を両手で広げた。
そこには、一匹の虎が描かれてあった。
詳細に描き込まれており、まるで本物のように思われた。




