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「今は姿を消していますが、まだ、その辺に居るかもしれませんので」
女性スタッフは、相手の女をじっと見つめ、落ち着いた口調で言った。
「あたしはね、大事な仕事で来てるの。
一晩200万の約束で呼ばれてんのよ。
あんたたち、肩代わり出来る?」
女は目を吊り上げ、スタッフ2人を交互に指差しながら言うと、構わず歩き出した。
「お待ちください!今はまだ危険です」
女性スタッフの声にも、石橋に呼び出された女は立ち止まりも振り向きもしなかった。
男性スタッフはすぐさま女の前に進み出ると、周囲に目を配りながら、女を先導するように進んだ。
冷房が効いているにも関わらず、スタッフの顔からは汗が噴き出していた。
「こちらになります」
男性スタッフが石橋の宿泊している部屋の前まで来ると、立ち止まり言った。
女は、すぐにドアをノックした。
「お、来たか」
ソファーに腰掛けていた石橋は、嬉々とした表情を浮かべ立ち上がると、ドアへと向かった。
抑えきれぬ笑いが込み上げてきた。
仲間が死んだ知らせを聞いた時は不安でいっぱいになったが、ホテルに閉じこもっていても、金さえ出せば自由に女を買うことも出来る。
しかも、最高の女・・・・・・。
俺は無敵だ。
石橋はドアの手前までやって来た。
あいつに会ったら、まずは何をしようか。
特注の料理を2人で食い、それから一緒に風呂に入るか。
その後・・・・・・。
想像すればするほど、笑いが込み上げてくる。
ふと、妙な物が目に入った。
ドアの前に茶色い、大きめの封筒が置かれてあった。




