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「危ない!」
男性は、とっさに台車を女性と猪の間に走らせた。
猪は台車を避け、2人の横を走り抜けていった。
女性はその場に倒れていた。
男性が駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
女性は上体を起こした。
「私は大丈夫。それより」
2人は振り返った。
猪はフロアの中ほどで立ち止まっていた。
すると、その背に乗っていた小さなサルが、ぴょんと飛び降りた。
2人が呆気にとられ見ていると、サルは両手に抱えていた大きめの封筒を、ある部屋のドアの下の隙間から部屋の中へと差し入れた。
そこは、2人がたった今出てきたばかりの石橋が泊まっているスイートルームだった。




