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「え?」
男性はわが目を疑った。
「どうして、こんなところに」
女性も呆気にとられて立ち尽くしていた。
2人の視線の先に、一匹のイノシシがいた。
鼻を下げ、両の目でじっと2人を見ている。
一般の成人男性の体重よりさらに上、100キロ前後はありそうに思われた。
さらに、イノシシの背には、一匹のサルが乗っていた。
体長30㎝ほどの小型のサルで、何故か大きめの封筒を小さな両手に持っていた。
「猪がどうしてホテルの中に。
それに、上に乗ってるのはリスザル?」
「どういうことなんですか?」
「わかりっこないわ、そんなこと。
でも、何とかしないと」
女性は、携帯電話を取り出し、電話をかけようとした。
すると、猪が突然2人に向かって走り出した。
「キャッ」
女性は避けることも出来ず、その場で猪に背を向けた。




