※ SS 魔王様がルール!?
100話を越えて、2万PVも超えていたので、ちょっとSSを差し込んでみようかな?と言うのと、ストロベリー~ではSSを一切入れてなかったのでたまにはいいかと(^^;
キュイン!キュイン!キュインッ!
バシュッ!キィンッ!ズシャッ!
死の銃から放たれる魔弾を、事も無げに打ち返される。
死角から迫る全包囲攻撃は、場所が狭すぎて使いづらい。
それでも、何とか死角からの攻撃を試みる……があっさりと躱され、逆に間合いを詰められる。
クッ……このタイミングはマズい!
『死の銃』を『死神の鎌』に変化させて、振り下ろされる剣を受け止める。
「どうした、それで終わりか?」
キィンッ!キィンッ!
金属同士がぶつかる音が鳴り響く。
接近戦は不利だ……何とか間合いを取らないと……。
「どうしてここに誘い込んだか分かるか?」
剣戟を繰り出しながら魔王が問いかけてくる。
密閉されたそれほど広くもない部屋……逃げる魔王を追って辿り着いたのがこの部屋だ。
部屋の片隅ではエル達が俺と魔王の戦いを見ている……と言うか見てることしかできない。
彼女らの傍には、魔王の眷属のミィが牽制しているからだ。
彼女たちが何か動きを見せようものなら、即座にミィの双剣が閃くことになる。
「フン、例え転生者であろうとも、肉体を使う事は普通の人と同じ……とでも言いたいのか?」
「アッハッハッハ……その通り!体を使う技は転生者と言えども訓練をしなければな!……俺もそれで苦労したもんだ。」
「魔王っ!」
キィンッ!キィンッ! キィンッ!キィンッ!
繰り出される魔王の剣戟を、俺は捌くのだけで精一杯だが、魔王にはまだまだおしゃべりを楽しむ余裕がありそうだ。
そして何より、魔王はまだ白い剣1本しか使っていない。
「お前も転生者ならわかるだろ?この世界の人間は統治されることしか知らない。自由とか平等とかは与えられた範囲でしか考えられないんだよ。」
「だからと言ってっ!」
俺は『死神の鎌』から『女神の剣』に形状を変える。
ここまで間合いが詰まると、長い柄の大鎌は取り回しが厳しい。
「力のある者が、弱者を従え導いていく……それが自然の摂理だ、どこが悪い?」
「そんな理屈っ!」
俺は横なぎに払う……が軽く受け流される。
「だが、正しいものの見方だ。」
キィンッ!キィンッ! キィンッ!キィンッ!
俺と魔王は互いに剣を振り合う。
「人は家畜じゃないっ!自由とか平等とか未来とか……すべてを取り上げられ、与えられたものだけで生きていく……そんなものにどれだけの価値がある!」
「しかし、それを望んでいるのがこの世界の人々だ。私はそれを与えているに過ぎない。」
キィンッ!キィンッ! キィンッ!キィンッ!
剣戟が鳴り響く……。
「この世界において、転生者は混乱を招くだけ……排除すべき存在でしかないんだよ。」
「貴様だって転生者だろうにっ!」
「ふんっ、ならば同士になるか?以前の質問を再びしよう。私の仲間になれ!そうすれば世界の半分を与えてやるぞ。」
魔王が嗤っている。
わかりきった答えを聞く時の表情だ。
「何度も言わせるな!答えはNoだっ!」
剣を弾かれる力を利用して後方へ飛びずさり間合いをとる。
「違うっ!違うよっ!」
エルの叫び声が聞こえる。
「もし魔王が自己の赴くままに人々を導いたとして、それが間違ってたらどうするのっ!誰も止める者が居なくて滅亡への道を突き進む……そんな世界、私は認めないっ!」
「あなたには関係ない。」
エルの叫びにミィが冷静な声で答える。
「あなたが認めようがどうしようが、魔王様には付き従うだけ……魔王様は間違えない。」
「なんでそんな事が言えるの!?魔王だって間違えることもあるわっ!」
「魔王様は間違えない。なぜならば……。」
キィンッ!キィンッ! キィンッ!キィンッ!
ミィとエルの言葉が剣がぶつかり合う音にかき消される。
「そうだな、魔王は間違えない……なぜならば魔王が世界のルールだからだ!」
剣戟が激しくなる。
「そんな世界、認める訳にはいかないんだよっ!」
俺は『女神の剣』を『死の銃』に切り替えて魔弾を放つ。
魔王との戦いは終わらない……。
本当は、本編が新章に入った108話の前に差し込む予定でした。
1話ズレたのは単なるミスです、すみません。




